製造業の生産性向上を急務とする現場担当者・管理職・経営層の皆様へ、200社以上の製造業・建設業の現場を見てきた私たちテクライムの結論をまずお伝えします。
生産性向上はツール導入や「施策」から入ると失敗します。生産性向上とは、業務を見える化し、問題を整理し、標準化とデジタル化を正しい順番で進めた先に結果としてついてくるものとお考えください。
「部品がどこにあるか分からない」
「本社と工場で同じ部品を二重に発注していた」
「営業と製造の連携がいまひとつで手戻りがよく起きる」
「上から『改善を考えろ』と言われたが、何から手をつければいいのか分からない…」
私たちのコンサルティングの現場でもこうした声は頻繁に耳にします。
この記事では、生産性が上がらない現場に共通する原因、私たちが200社以上の支援から導き出した「正しい順番」、現場を疲弊させない進め方、よくある失敗パターン、そして実際の事例まで、順を追って解説します。
| 【この記事で分かること】 ・製造業の現場で生産性が上がらない5つの原因 ・生産性向上を「結果」として引き出す正しい順番 ・現場を疲弊させずに進める5つのコツ ・ツール導入や外部支援でよくある4つの失敗パターン ・生産性130%(前年比)・受注額150%(従来比)を実現した事例 |
製造業で生産性向上が急務になっている背景
今、なぜ製造業の生産性向上がこれほど言われるのか?というと、ずばり「人を増やして解決する」という選択肢がなくなったからです。製造業の人手不足は、もはや一時的な景気の話ではありません。採用しようにも応募が来ない、来ても定着しない。この状況は、都市部の大手でも地方の中小企業でも共通しています。今いる人材と体制で生産性を上げる以外に道がない企業がどんどん増えています。
同時に進んでいるのが、ベテランの退職です。私たちが支援先の経営者からよく伺うのは、「ベテラン社員がもうすぐ定年退職しますが、技術継承ができていなくて…大丈夫でしょうか」という不安の声です。定年以外にも、突然の退職や長期離脱といった事態が起きたとき、ノウハウも技術も人脈も、その人と一緒にすべて会社から消えてしまう。特に中小企業では、それこそ「部品がどこにあるか分からない」というレベルの属人化が日々の業務で起きてしまいます。
いまや生産性向上は「余裕があればやる」から「やらなければ現場が回らない」に変わりました。
しかし焦って取り組んでも、順番を間違えれば効果は上がりません。
実は「生産性が上がらない製造業」の症状はよく似ており、いくつかのパターンに当てはまります。まずは現場で何が起きているのかを見ていきましょう。
生産性が上がらない工場・現場に共通する5つの原因

私たちテクライムが200社超の製造業の支援を通じて割り出した「生産性が上がらない原因」は、つきつめると「業務が見えていないこと」に集約されます。具体的には次の5つです。
原因1:業務が「カン」と「経験」で回っている(属人化)
「〇〇さんに聞かないと判断できない」
「あの人がいないと業務が止まる」
この状態が属人化です。現場が「カン」と「経験」で動いているなら、それは改善のサインです。
属人化が問題なのは、その人が辞めたときに困るのはもちろんですが、今この瞬間にも、その人の手が空くのを誰かが待っているという状態が起きるからです。
ベテラン側は「難易度の高い案件はすべて自分に回ってくる」と感じ、若手は若手で何をどこまでやれば正解なのかが分からないまま、手探りで業務を進めています。属人化は将来の技術継承の問題である前に、今日の生産性の問題なのです。
原因2:営業・設計・製造…「部門の溝」で手戻りが起きている
生産性の問題は、同じ部署部門より、部門間で起きることが圧倒的に多いというのが私たちの実感です。
支援先の現場でよくあるのが、「同じ言葉を使っているのに、認識が違う」という状態です。
たとえば「納期」です。同じ1カ月でも営業は受注日・製造は着手日から数えていたり、現場は出荷日・経営者は先方到着日と認識していることがあります。
あるいは「改善」。経営者にとってはコスト削減、現場責任者にとっては作業を楽にすること、現場社員にとっては「やり方を変えたくない」という意味になっていたりします。
次に多いのが、自部署のアウトプットが次の部署のインプットになっていないケースです。営業部門が顧客に聞いた受注情報をそのまま書いて設計へ渡し、設計は「これでは分からない」と愚痴を言いながら、営業に聞き直しに行く…といった手戻りは、多くの企業で起きています。
トヨタグループには「次工程はお客様」——つまり後工程のことを考えてアウトプットを出すという考え方がありますが、この発想自体がない企業も意外に多いのです。
さらに根が深いのが、「本来やるべき部署以外がやっている仕事」の常態化です。たとえば、本来なら設計がやるべき仕事を、たまたま何かの理由で営業が代わりに行い、担当者の力関係などの理由でそれが固定してしまっているケースがあります。営業は内心モヤモヤしているけれど、時間が経てば経つほど、今さら言えなくなっています。
私たちがご相談を受けたときに、例として「こういう問題がよくあるんですよ」とお話しすると、「えっ、それってウチのことですよね?」と返されることは本当に多いのです。
原因3:管理職が現場を「任せっきり」にしている
生産性の問題は、管理体制が原因であることも少なくありません。管理職と現場の人間でプロセスを整理するだけである程度は効果が出るものですが、日々の業務を現場に任せきりだとこれがなかなかできません。
その典型が「レビューがない」「振り返りがない」現場です。来た仕事をこなして終わり、どこまでうまくいったのかどうか検証されず、次の案件に移ってしまいます。
これは特に少人数の企業で多く見られます。私たちが初回の訪問で真っ先に気づくポイントでもあります。
原因4:現場の本音が上がってこない
現場担当者は、作業工程で「ちょっと困るな」「もっとこうだと良いのに」と思っても、その場でストレートに上司に言える人はなかなかいません。
また、もし「いまのやり方でいいと思うか?」と聞かれても、いわゆる忖度が入って「いいと思います」と答えてしまうことも。
特に大手企業では、これがかなり大きな課題だと私たちはとらえています。会社の規模が大きくなるほど、縦と横の構造、世代間の感覚の違いといった要因が重なり、本音が届かなくなります。しかし、ここに踏み込まないと本当の意味での改善はできません。
原因5:仕組みやツールが「形だけ」になっている
改善の仕組みを作りツールも入れたのに、機能していない…という現場もあります。(これも大手企業でよく見られます)
- 報告書を見ると「〇〇を実施しました」と書かれているものの、肝心の生産性が上がっていない
- 高機能なツールを導入したのにごく一部の機能しか使われていない
- ISOの認証のために規定は文書化されているものの、現場の実態が合っていない
このミスマッチは「ツールさえ入れれば生産性が上がる」と思っていることが一因です。標準化されていない業務を土台にしても、データは正しく入らず役に立ちません。
大手と中小では「症状」が違う
ここまでお読みいただいた方はお分かりかと思いますが、同じ「属人化」「部門間の溝」などの課題も、大手と中小ではその内容が異なります。
一般的に、中小企業では「そもそも仕組みがない」つまり帳票やルールが存在せず、慣れた人がなんとか独自にやっている状態です。この場合は、まず仕組みを作り、誰でも同じようにできるように持っていくのが出発点になります。
一方、大手企業の多くは仕組みや帳票は整っています。しかしそこには本当に大事なことが書かれていなかったり、現場が腹落ちしておらず運用されていなかったりします。なぜ腹落ちしていないかといえば、本音が言えていないからです。
製造業の生産性が向上する「正しい順番」
生産性向上の正しい順番を再度まとめます。
まず「見える化」を起点に、問題整理と優先順位付け、標準化とデジタル化を進めると、属人化・部門間連携・マネジメントが改善し、その結果として生産性が上がり、人が定着します。

このような正しい順番で土台を作った結果として生産性向上が得られます。
以下、具体的な進め方を3段階で解説します。
STEP1:業務を見える化する(すべての起点)
最初にやることは、ツール選びでも、マニュアル作りでもありません。現場で実際に起きていることを、業務フローとして描き出すことです。
見えないものは変えられません。「見える化」はそれ自体が目的ではなく、スタート地点です。
営業から設計、製造、出荷までの流れを描いてみると「なぜここで戻るのか」「なぜこの作業をこの人がやっているのか」が一目で分かります。原因2で挙げた手戻りも、業務フローの上では「これがなくなれば、この手戻りが消える」と誰の目にも明らかになります。
ここで大切なのは、経験や勘ではなく、現場で実際に起きている事実を丁寧に集めること。一見滞りなく回っているように見える現場でも、1つ1つ深掘りしてみると、生産性低下の真の原因が分かることもあります。
「見える化といっても、具体的にどうやればいいのか分からない」という場合は専門家に依頼するのも手です。テクライムでは、200社を超える製造業の現場の「見える化」に伴走してきた経験から、的確にお客様の現場の業務フローを描き出します。
STEP2:問題を整理し、優先順位をつける
見える化した結果、多くの場合、問題は山ほど出てきます。しかし、ここで全部を一度に直そうとすると、日常業務に遅れが出たり、現場が疲弊したりしてしまいます。
だからこそ、見える化の次に必要なのは「何を、どこから変えるか」を決めることです。業務フローはそれ自体がゴールではなく、「何を変えるべきか」を明らかにすることが目的です。特に優先すべきは、部門と部門の間、業務全体の流れの中にある構造的な問題です。
上記の視点で、まず取り組むテーマを絞り順番を決めましょう。この段階を飛ばすと、STEP3で導入する標準化やツールが使えないものになります。
「優先順位の付け方に悩む」という場合、テクライムがご相談に乗ります。製造業に特化した豊富なコンサルティング経験から分かる、「御社が手を付けるべき課題」と優先順位を見極めます。
STEP3:標準化とDX・AI活用を進める
やるべきことが決まったら、次に誰でも同じ結果を出せる状態=標準化を進めます。ベテランのノウハウ(暗黙知)を整理して共有することも標準化の一部です。
ポイントは、標準化→デジタル化(DX・AI活用)の順で進めること。
これはなぜかというと、標準化された業務を素材としてデジタルツールに渡すと、効果が何倍にも加速するからです。逆に、標準化されていないデータを使ったツールやAI活用ではほとんど機能しません。「データ化の前に標準化」。この順番だけは崩さないでください。
あわせて読みたい:暗黙知を形式知に変える5つの方法。ベテランの技を現場で全員が使えるようにするには?
結果として起きる3つの改善
STEP1〜3を正しい順番で進めると、施策として狙わなくても、次の3つが自然と改善していきます。
- 属人化の解消:ベテランしかできなかったことが、若手にも「分かる」ようになる。難易度の高い案件が特定の人に集中する状態が解消される
- 部門間連携の改善:問題の多くは部門間で起きています。仕組みを変えることで、現場に任せていた頃のごちゃごちゃが整理され、部門間のコミュニケーションが良くなる
- マネジメントの改善:「何ができたらOKなのか」「何が評価されるのか」が明文化される。管理職が現場を任せきりにせず、見て判断できる状態になる
ゴールは生産性向上と人材定着
ここまでの3つの改善が起きた先に、生産性向上があります。
手戻りが減る・探す時間が減る・判断が速くなるといったさまざまな効果が現れ、私たちの支援先では、現有戦力のまま生産性130%(前年比)、受注額150%(従来比)といった成果も出ています。
そして、もうひとつ重要な成果として、人材定着も期待できます。若手が仕事をしにくいと感じる理由の1つに「何をどこまでやれば正解なのか分からない」があります。ベテランもそれを説明できないので「なんでこんなことも分からないんだ」としか言えない。結局若手はモヤモヤしたまま辞めてしまう…というケースも少なくないのです。
しかし業務が見える化され「やるべきこと+正しいやり方」が共有されれば、一人で悩む時間が減り、質問も的確なものになります。仕事がきちんと完成したのかどうか、若手自身が分かるようになります。こうして達成感とやりがいが増えれば、離職率の抑制につながります。
現場を疲弊させずに進める5つのコツ

やるべきことと順番が分かったら、いよいよ改善に取りかかりますが、限られた時間とリソースの中で日常の業務を回しながら進めるのには、現場に負担がかからないような進め方が必須です。
そこで、私たちテクライムが現場でお客さまの支援にあたり大切にしている「5つのコツ」を紹介します。改善担当者の方は、ぜひご自身に置き換えて実施してみてください。
コツ1:既存の資料から始める
見える化のために、いきなり現場の人に「業務フローを書いてください」とお願いしてもまず出てきません。理由はもちろん忙しいからです。
まずは今ある資料(帳票・Excel・手順書など)を起点にして、足りない部分を短いヒアリングで補っていきます。
私たちの場合、ヒアリングは週1回30分を基本にしています。現場の忙しさと改善疲れに配慮し、業務を止めない設計にすることが大前提です。
コツ2:「準備はこちら、判断はあなた」の役割分担にする
現場に大きな作業をさせないのも鉄則です。方針や進め方を整理するのは改善担当者の仕事で、現場作業を行う人にはポイントだけをたずねて考えてもらいます。
もちろん自社のことですから、まったく工数をかけないわけにはいきません。しかし、その人その人の空き時間や得意不得意を踏まえて「最低限の判断」に絞ることが、最後まで無理なく伴走しきるコツといえます。
コツ3:本音が出る場をつくる
原因4で述べたとおり、本音が上がってこない現場では、いくら仕組みを作っても本当の問題にたどり着けません。本音を話しても叱責されたり否定されたりしないような「心理的安全性」を確保し「これって、おかしいと思うんです」と言える場を意図的に作りましょう。
なお、社内や直属の上司には言いづらいことでも、社外の第三者になら話せることもあります。テクライムでも、外部ヒアリングとして多くの現場の方から「本当に困っていること」「会社が気付いていなかった問題点」を引き出してきています。
コツ4:小さく始めて、途中で判断できる形にする
最初から大きな予算がともなう改善をする必要はありません。まず3ヶ月程度で現場の実態を明らかにし「何を、どこから変えるか」の優先順位を決める。1~2つの施策に取り組み、得られた成果を見て、次に進むか一旦止めるかを判断します。この形にしておくと、社内の稟議も通しやすくなります。
コツ5:「自走できる状態」をゴールにする
外部の支援を受ける場合、ゴールは「改善提案書をもらうこと」ではありません。支援が終わった後も、自分たちで見える化し、問題を整理し、改善を回せる状態になっていることがゴールです。この視点を最初に持っておくと、最終的に「改善資料はもらったが、誰も動かない」という状態に陥りにくくなります。
これらのコツを駆使した、テクライムの業務可視化サービス「GENBA SCOPE(ゲンバスコープ)」資料は、こちらから無料でダウンロードできます

生産性向上の取り組みでよくある4つの失敗パターン
私たちのもとには、製造業のお客さまから「すでに生産性向上に取り組んだり、コンサルに入ってもらったが、うまくいかなかった」というご相談をいただくこともあります。実はここには共通の失敗パターンがあります。典型的な4つを紹介します。
失敗1:業務が標準化できていないのにツール先行→使えない
もっとも多いのが、いきなりツールに走るパターンです。いくつものツール情報を集めて比較表を作り、一番良さそうなツールをサブスクリプションで導入するも、結局使えないという例は大変多く聞きます。
なぜ使えないのかというと、この記事でもお伝えしているように、標準化されていない業務にツールを適用しているからです。何をどう入力すればいいのかが人によってバラバラでは、比較も集計もできません。ごく一部の機能は使えるかもしれませんが、ほとんど生産性は上がらないまま、月額費用だけが積み上がっていきます。
失敗2:データ化しただけで、活用できていない
ツールを導入し、データも入れたのに活用されていないというのも非常に多いパターンです。
たとえば、各社員のスキル情報を集めるシステムを入れたとします。しかし、どういうことができればスキルとして成立するのかという共通の尺度がなければ、いざデータに沿って人員を配置しても「これはできません」という事態が起きかねません。
大企業を中心に「何に使われるのか分からない」「転勤につながったら怖い」など社員が警戒して正しい情報を入れないケースも見聞きします。せっかくデータはあるのに、使えないものになってしまっている理由として、標準化と本音という2つの壁が挙げられます。
失敗3:「宿題型」の支援で、現場が動かない
外部のコンサル支援を受けたのにうまくいかなかった経験をお持ちの経営者からよく伺う話があります。
「業務フロー図のフォーマットとツールを渡されて『次回までに書いておいてください』と言われたが、だいたい書けないまま次回を迎える」
「数十件、数百件の質問シートを渡されて回答を求められた。現場が疲弊しただけで、ノウハウは出てこなかった」
「集中的なヒアリングと分析の後、分厚い改善提案書が届いた。でも実行は自分たちに任され、誰も自分ごとにならず、そのまま止まった」
これは、実は私たち自身がかつて大手メーカーの人事として支援を受ける側にいたときに経験したことでもあり、支援先の経営者から何度も聞いてきた話でもあります。
やり方や方法論を教える支援は、教わる側に大きな宿題を出しがちですが、その宿題をこなせる余力があるのは、ごく一部の大企業だけです。

テクライムは、現場の負担を最小限に抑え最重要なポイントをていねいに引き出す「伴走型」が特徴です。「大手コンサルで失敗したが、今度こそ生産性向上を実現したい」とお考えであれば、ぜひお気軽にご相談下さい。
失敗4:一部の人しか使わない・形だけの運用になる
全社に新しいツールを入れても、一部の人だけしか使わない。使い方もまちまちで、ツールの能力を引き出している人と10%しか使えていない人が同じ社内に混在する。「やっています」という報告だけが上がってくる。原因5で挙げた状態が、そのまま失敗として固定化するパターンです。
いずれのパターンにも共通するのは、先に「見える化」と「標準化」を行っていなかったことです。順番さえ守れば避けられる失敗といえます。
▼ツール導入・DXが現場に定着しない理由と、その前にやるべきことを整理した資料を以下から無料でダウンロードいただけます。
製造業・建設業における、生産性向上の成功事例

ここからは、テクライムの支援で人数と設備はほとんど変えずに生産性130%(前年比)・受注額150%(従来比)などを実現した製造業・建設業の成功事例の一部をご紹介します。
事例1【自動車部品の開発・製造 A社】現有戦力のまま、生産性が前年比130%超
支援前:営業・設計・製造がそれぞれ属人的に動いており、対応できる案件のキャパシティが小さい。役職の配置はあるものの、互いの役割の意識は曖昧。新人を育成しても離職してしまう状態が常態化していました。
やったこと:業務フローを作成して全体を見える化し、課題を明確化。そのうえで業務の標準化を進め、部門間のコミュニケーション研修、評価制度の見直し、運用の仕組みづくりまで伴走しました。
支援後:人を増やすことなく、現有戦力のみで生産性130%以上(前年比)を達成。離職率も大幅に低下し、部門間で建設的なコミュニケーションが生まれる風土が生まれました。属人化していた業務が可視化・標準化され、会社の資産となっています。
事例2【非常用電源設備工事業 B社】受注額は従来比150%、収益率120%以上
支援前:長時間残業が常態化していましたが、働き方改革で労働時間を減らせば売上と収益が落ち込むジレンマに陥っていました。営業・設計・施工管理・メンテナンスを一気通貫で提供する強みがあるにもかかわらず、部門間での境界意識が強く業務の受け渡しで問題が多発。若手の離職も続いていました。
やったこと:業務フローの作成と課題の詳細化に加え、設計・施工管理のノウハウを可視化。そのうえでAIの導入(社内のノウハウを検索できる仕組みの開発)と、業務標準化プロジェクトの立ち上げまで進めました。
支援後:売上・収益が回復し、収益率120%以上、受注額は従来比150%に拡大。営業が過度に抱えていた業務が整流化されたことで、新人の成長スピードが上がり若手の離職も大きく減りました。
事例3【三立機械工業株式会社】「三遊間のエラー」が減り、10年後のビジョンを語れる会社に
支援前:廃電線のリサイクル装置を開発・製造する工程で、営業・設計・製造の「三遊間」で連携のエラーが頻発。評価制度は形骸化していました。
やったこと:業務の可視化、業務フローの作成、問題の整理と「やるべきこと」の提案、そして人事評価制度の設計まで伴走しました。
支援後:社内に建設的な議論が生まれ、管理部門が自然発生的に新設されました。そして経営者が「10年で売上3倍」というビジョンを語れるようになりました。見える化と仕組みが、共通言語と当事者意識を生んだ事例です。
事例4【株式会社サイトー】手戻りが3分の1、探す時間が5分の1に
やったこと:熱処理設備の開発・製造に関する業務の可視化、業務フローの作成、問題の整理と提案、ノウハウの整理、そして見積業務へのAI活用まで進めました。
支援後:手戻りが3分の1、部品を探す時間が5分の1に減り、生産性は体感で約140%(前年比)に。経営者からは「課題ではなく、伸びしろだった」「コンサルティング費用はもはやコストではない」という言葉をいただいています。
社長が業務の全体像とノウハウの資料を見た瞬間に口にしたのは、次の言葉でした。
「あの社員が、こんなに考えて仕事をしてくれているとは知らなかった」
業務フローを見た瞬間に経営者が気づくのは、「非効率」ではなく「社員の価値」なのです。
数字より先に起きる「人が変わる瞬間」
事例の数字をご覧になった皆様は「どの施策が効いたのか」を知りたくなったのではないでしょうか?
しかし私たちの実感では、数字が動き始める前に、必ず「人が変わる瞬間」があります。
支援のスタート時には、ヒアリングに対し、多くの現場では「なんでこんなことをやらなきゃいけないんですか」という空気が漂います。それが、自分の仕事の話をしながら、他社の事例や普段は聞けない話、ちょっとした気づきを重ねていくうちに、「自分にとってもいい時間だった」と感じてもらえるようになる。やがて「この時間が一番楽しい」と言ってくださる方が出てきます。67歳のベテランで、社内では「難しい人」と言われていた方が、毎週のヒアリングを楽しみにしてくださり、その方のノウハウが今、会社で活用されているという例もあります。
その頃には、自分の仕事を可視化し、問題を改善しようという意識が、日常の中で自然に生まれています。もちろん「文句」は出ますが、最初はあきらめ混じりの不満だったのが、だんだんクスッと笑えるような軽い愚痴に変わり、やがて会社や他人に向いていた疑問や不満が自分自身に向き始めます。そして「自分がもっとレベルを上げないと」と発言するようになる方も多く、そうなれば数字は後からついてきます。
▼これらの実際の支援の記録と、組織が変わっていくプロセスをまとめた資料は以下より無料でダウンロードしていただけます。
生産性向上を「外部パートナーと進める」という選択肢

本記事でご紹介した生産性向上のステップは、もちろん社内でも実行可能ですが、テクライムのような外部ならではのメリットも実は数多くあります。
第三者が入る最大の価値は「社内では言えない本音」が出てくることです。それによって、経営者は現場の実態と、社員の価値の両方を知ることができます。
本音は「社内の上下関係の外」で出てくる
社内では遠慮して話せない人でも、社外の人間になら本音を話してくれる——これは私たちが支援の原点として何度も経験してきたことです。
もし社内で「これ、おかしいですよね」と言っても何も変わらないばかりか、文句を言う人間として悪い印象を持たれてしまうかもしれない。しかし外で吐き出せる場があるだけで、現場の人はぐっと楽になります。
「こういうことありませんか?」「あります。別のやり方のほうがいいと思いませんか?」「そうですよね」のように、社内ではなかなか得られなかった共感により、信頼関係が積み上がっていき、そのうち本音やノウハウを話していただけるようになります。
経営側と現場側、両方の言葉が分かる人間が入る
私たちのコンサルタントは、トヨタ系をはじめとする技術系企業の出身者が中心で、製造業の現場と人事の両方を経験しています。経営側と現場側、両方の言葉が分かる人間が本音を聞きながら業務を把握することで、社員が実際に何をやっているのかが初めて見えてきます。
そこには当然問題点や非効率な点もありますが、同時に「あの人、ここまでやってくれていたのか!」というプラスの気づき、社員の価値も見つけられるのです。
GENBA SCOPE(ゲンバスコープ)で、何から変えるかを一緒に描く
私たちが提供しているGENBA SCOPE(ゲンバスコープ)は、現場の見える化を起点に「何を、どこから変えるべきか」を一緒に描く伴走型のサービスです。
- 既存の資料を起点にし、ヒアリングは業務を止めないよう、週1回30分から始めます
- 現場で実際に起きている事実を集め、業務フローとして構造化し、全体像を描きます
- 見える化はゴールではなく起点ととらえ、属人化やボトルネックの所在、次に取り組むべき変革テーマの優先順位を明らかにします
- まずは3ヶ月程度からスタート可能で、大きな投資判断の前に、現場の実態を一緒に見ることができます
- 業務改善・標準化・技術継承・DX・AI活用といった変革テーマの実行まで伴走し、支援が終わった後も自走できる状態を作って引き渡します
GENBA SCOPEに興味をお持ちいただいた方へ、社内説明にそのまま使えるサービス資料をご用意しています。
「現場を可視化してくれるのは分かった。その後、何をしてくれるのか?」
稟議でよくあるこの問いにも答えられる内容ですので、ぜひダウンロードしてご活用ください。ご質問やご相談も以下よりお気軽にお問い合わせください。
製造業の生産性向上に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 製造業の生産性向上は、何から始めればいいですか?
現状の見える化からです。業務の流れを業務フローとして描き、どこで手戻りや待ち時間が発生しているかを把握します。ツールの選定や標準化は、その後です。順番を逆にすると、使えないツールとマニュアルだけが残ります。
Q2. 小規模な町工場でも取り組めますか?
はい。私たちは20名規模の企業から上場企業まで支援してきました。人手が限られている企業ほど、見える化の効果は大きく表れます。オンラインでの対応も可能です。
Q3. ツールやAIを導入すれば、生産性は上がりますか?
標準化されていない業務の上にツールやAIを載せても、機能しません。データが正しく入らず、入っても活用されないからです。見える化→問題整理→標準化と同時にデジタル化、という順番であれば、ツールやAIは大きな効果を発揮します。
Q4. 効果が出るまで、どのくらいかかりますか?
現状把握そのものは、最短1ヶ月から取り組めます。成果が数字に表れるまでは、私たちの支援先では半年以上かかるのが一般的です。ただし、数字より先に「現場の意識が変わる」段階があり、それは早ければ数週間で実感できます。
Q5. 外部のコンサルタントを入れると、現場が混乱しませんか?
ヒアリングは週1回30分を基本にし、資料の準備も支援側で行うため、現場の負担は最小限です。現場と信頼関係を築いてから進めるので、「調査に協力させられる」という感覚を持たれないよう配慮しています。
Q6. 中小企業でも費用面で取り組めますか?補助金は使えますか?
見える化のコンサルティング自体は補助金の対象になりませんが、その後にAIやシステムの開発を行う場合は「ものづくり補助金」を活用した実績があります。また、人事制度の設計や研修を行う場合は、人材開発に関する助成金を活用した事例もあります。詳しくはご相談ください。
まずは現状把握から始めませんか?
製造業の生産性向上は、ツール導入からではなく、見える化から始めると失敗しません。
- 生産性が上がらない原因は、業務が「見えていない」ことに集約される
- 見える化→問題整理と優先順位付け→標準化×DX・AI活用、の順番を守る
- 属人化の解消、部門間連携、マネジメントの改善は、その結果として起きる
- 生産性向上と人材定着は、最後についてくる
- 見える化の前にツール・データ・宿題が来ると、失敗する
そして私たちが最も大切にしているのは、支援が終わった後も、自分たちで見える化し、問題を整理し、改善を回せる「自走できる状態」を作って引き渡すことです。
まずは3ヶ月、現場の実態を一緒に見るところから始めませんか。
■この記事の監修者

杉浦大介(株式会社Tecrhyme 代表取締役)
1978年愛知県名古屋市生まれ。南山大学経営学部経営学科卒。大手空調メーカーで営業職からキャリアをスタートし、大手自動車部品開発会社に人事として転職、人事変革を推進。人事コンサルティングベンチャー企業でCOOを務め、上場準備期まで企業成長を主導。2023年3月に株式会社Tecrhymeを設立。これまでに1500社以上の経営者・人事責任者への講演活動、200社以上のコンサルティングを実施。2021年に『理系の[採用・活かし方]トリセツ~テクダンテクジョがあなたの会社を10倍伸ばす』(ぱる出版)を出版。


